肝臓は、私たちの体の中でも最も大きな臓器です。主な役割のひとつには「代謝」があり、毒物を分解するほか、栄養素をエネルギーに変換してくれる。
ところが、食生活の乱れや運動不足などで肝臓に脂肪がつくとこの作用が落ち、体重が増えやすく疲れやすい体になってしまう。メタボリックシンドロームに合併しやすくて、放置すると肝炎などを引き起こし、肝硬変に進行することもある。
ヘルスライン誌やメディカル・ニュース・トゥデイ誌などが挙げる、肝臓から脂肪を落とすのに有効な食品、そして逆にため込んでしまう食品を紹介します。それらを意識して、より良好な食生活を心がけていきたい。
なお、アルコール摂取やウイルスも脂肪肝の原因となるが、記事ではこれ以外、つまり食生活の乱れなどによる脂肪肝(NAFLD)を中心に説明する。
◆脂肪を落とす食品1.ヨーグルト
低脂肪のヨーグルトやケフィアには、カルシウム、ビタミンD、そして体に良い微生物のプロバイオティクスが豊富です。
こうした食品には、脂肪肝の発達に関連した腸内細菌の振る舞いを変化させ、脂肪肝の発症を抑制する可能性があるとの研究があります。
◆脂肪を落とす食品2.アボカド
脂肪肝の人は「インスリン抵抗性」の状態になりやすく、血流にインスリンがたまり肝臓に悪影響を与える事がある。
2019年の研究により、アボカドオイルが肝臓の炎症を抑制する事が示された。アボカドには、善玉コレステロールも豊富で、適度な摂取により脂肪肝の改善が期待される。
◆脂肪を落とす食品3.ガーリック
2016年の小規模な研究では、ニンニク粉末のサプリメントが脂肪性肝疾患の人の体重と脂肪を減らすのに役立つ可能性があることが示された。
また2019年の研究では、生のニンニクを頻繁に消費する人は脂肪肝を患う傾向が低いことがわかっている。
◆脂肪を落とす食品4.コーヒー
コーヒーを飲む習慣のある人は脂肪肝になるリスクが低いことが、2021年の調査により判明している。
マウスを使った2019年の実験では、カフェインレスコーヒーでも肝臓の炎症の軽減が見られた。
◆脂肪を落とす食品5.葉物野菜
ほうれん草などの葉物野菜は、肝臓への脂肪の蓄積を避ける効果がある。
2021年の研究により、葉物野菜に豊富な硝酸塩とポリフェノールによる効果である可能性が示された。調理していない生のほうれん草で効果が高いことがわかった。
◆脂肪を落とす食品6.ブロッコリー
ブロッコリーも葉物野菜の一つであり、脂肪蓄積の防止効果が期待されている。マウスを使った2016年の研究では、長期的な摂取で肝臓に脂肪がつくのを抑える傾向が見られた。
◆脂肪を落とす食品7.魚類
サーモン、マグロ、イワシなどはオメガ3脂肪酸を多く含む。2016年の研究ではこうした食品が、脂肪肝の改善と善玉コレステロールのレベル向上に役立つとの結果が得られた。
オメガ3脂肪酸はこのほか、クルミや亜麻仁にも多く含まれる。
◆脂肪を落とす食品8.緑茶
緑茶にはカテキンなどの抗酸化物質が含まれている。こうした抗酸化物質は、脂肪肝の症状を改善する可能性があることが2021年の研究により示されている。
◆脂肪を落とす食品9.大豆・ホエイプロテイン
大豆とホエイプロテインは、肝臓への脂肪の蓄積を減らすと考えられている。
2019年の研究では、肥満の女性が60グラムのホエイプロテインを1ヶ月間毎日摂取したところ、肝臓の脂肪が20%減少した。イソフラボンがインスリン感受性を向上させ、脂肪を減少させる可能性がある。
◆脂肪を落とす食品10.全粒粉
オートミールなど全粒粉の食品は食物繊維が豊富だ。繊維量の多い食品は脂肪肝の改善に有効であり、中性脂肪の値を下げる効果があることが研究によって示されている。
◆脂肪を落とす食品11.ナッツ
食事にナッツを取り入れることで、炎症、インスリン抵抗性、酸化ストレスなどのリスクを低減できる可能性がある。
ナッツの消費量を適度に増やすことで脂肪肝のリスクが有意に低下し、また、肝臓脂肪の多い人がクルミを食べたところ肝機能が改善したとのデータがある。
◆脂肪を落とす食品12.フルーツ
フルーツのなかでも、特にベリー類やキウイなどには、ビタミンC、食物繊維、抗酸化物質が豊富に含まれている。
2017年の研究では、抗酸化物質のポリフェノールが脂肪酸の分解を促進することが示された。イチゴ、ブルーベリー、ラズベリーなどに多く含まれている
◆脂肪を落とす食品13.ハーブとスパイス
ハーブやスパイスは風味を豊かにするだけでなく、炎症を防止する抗酸化物質の宝庫だ。とくにターメリックには、クルクミンと呼ばれる成分が含まれる。
クルクミンは、脂肪肝の人で高くなりがちな2つの酵素の値を低下させると考えられている。
◆脂肪をため込む食品1.砂糖
こうした食品とは反対に、脂肪をため込む作用のある食品にも注意したい。お菓子やドリンク、そして一部の料理には砂糖が多く含まれている。
砂糖は栄養価に乏しいだけでなく、高血糖を招き脂肪肝を助長することがある。甘みが欲しい場合には、極力果糖やコーンシロップなどで代用したい。
◆脂肪をため込む食品2.アルコール
アルコールを長期的に過剰摂取していると、脂肪がたまった肝臓が炎症を起こし、やがては肝硬変につながる恐れがある。
アメリカのガイドラインでは、ビールやワインは男性で1日2杯まで、女性で1杯までに抑えるよう推奨されている。
◆脂肪をため込む食品3.白米や精製穀物
白米や、精製小麦を使ったパンやパスタも、脂肪肝のリスクを高める食品の一つだ。精米などの過程で食物繊維が取り除かれており、食後に血糖値が上昇しやすい。代わりに、玄米や全粒粉を使った主食を取り入れたい。
◆脂肪をため込む食品4.揚げ物
揚げ物はカロリーが高いだけでなく、脂肪肝のリスクを高める飽和脂肪酸を多く含む。
アメリカのガイドラインでは、飽和脂肪酸は1日の摂取カロリーの10%未満に抑えるよう推奨されている。油を使わずオーブンやノンフライヤーを使うとより健康的だ。
◆脂肪をため込む食品5.塩分の多い食品
塩分は脂肪肝のリスクを高める。濃い味付けが好きな人は、大量の塩を使う代わりに、ハーブやスパイスで風味を加える方が良いだろう。
◆脂肪をため込む食品6.肉
牛肉や豚肉、そしてソーセージやベーコンなどの加工肉は、好ましくない飽和脂肪酸を多く含んでいる。
脂肪肝の人は摂取を避けるよう推奨されている。代わりに、オメガ3脂肪酸が豊富な魚や、豆腐などを積極的に食卓に取り入れたい。
私たちの腸内には善玉菌や悪玉菌など様々なバクテリアが棲み、「腸内フローラ」と呼ばれる微生物の生態系を形成している。バクテリアの分泌する物質は私達の健康に大きな影響を与えており、腸内環境は健やかな生活に大きく影響している。腸をきれいに保つ事で、理想体型の維持からメンタルの安定まで、さまざまなメリットにつながる可能性がある。そこでぜひ知っておきたいのが、腸内環境に悪影響を与えてしまう要注意食品と、腸内の改善に役立つ有益な食品です。
◆要注意食品1:赤肉
牛肉や豚肉などは食卓の人気者ですが、食べ過ぎに注意したい。こうした暖色系の肉には「赤肉」と呼ばれ、カルニチンを多く含む。腸内の細菌はカルチニンに反応してトリメチルアミン-N-オキシド(TMAO)を代謝して、血中のTMAOの濃度を上昇させる。結果としては、動脈硬化など、心血管疾患のリスクを高めてしまうので用心したい。
なお、ここで言う赤肉とは牛や豚、そして羊などの肉を指す。脂肪分が少ない「赤身肉」とはまた別の考え方であり、脂肪分が多い肉を食べれば良いと言うわけではない。どうしても肉を食べたい場合には、むしろ「〜ロイン」などの名がついた赤身肉を選ぶのがベターです。
◆要注意食品2:アルコール類
酒は百薬の長とはいうものの、飲みすぎは控えた方が良いかもしれない。あまり多量に摂取すると、腸内バクテリアのバランスが崩れる「ディスバイオシス(腸内毒素症)」という状態になってしまう。アメリカのとある小規模な研究では、アルコール依存症患者では4人に1人の腸内環境が異常をきたしていたが、飲酒習慣がほぼない人々のあいだでは同様の異常はまったく見られない事が確認された。
他方でアルコールのメリットとして、赤ワインに含まれるポリフェノールが腸内に良い影響を与えるという見解もある。ただし、現段階では根拠となる研究結果が十分に出そろっていない状態だ。もし飲む場合は女性で1日1杯、男性で1日2杯程度までに抑えることが望ましい。
◆要注意食品3:人工甘味料
少ないカロリーで甘味を得られる人工甘味料はダイエットの強い味方だ。低カロリーで甘味のある飲料のラベル表示を確認すると、アスパルテームやサッカリン、スクラロースなどの成分が並ぶ。こうした人工甘味料が腸内バクテリアに与える影響はまだ研究途上であり、はっきりとした関係がわかっていない。
それでも一部の研究は、ダイエット系炭酸飲料に含まれる人工甘味料が、腸壁に付着している細菌の集団である腸内フローラの構成に悪影響を与える可能性を示唆している。腸内フローラが大きなダメージを受けた場合、一例として、食後に上昇した血糖値が時間を経ても下がりにくくなる「ブドウ糖不耐性」という代謝異常を引き起こすことがある。また、人工甘味料を別にしても炭酸自体が決して腸に良いとはいえず、お腹の膨満感や刺激による腹痛を招く原因になりかねない。
◆要注意食品4:揚げ物
スーパーの惣菜コーナーに行けば美味しそうな揚げ物が目白押しで、つい手に取りたくなる。ファストフードとしてもポテトやフライドチキンなどが人気だ。こうした食品のカロリーの高さは周知の事実だが、腸内にも負の影響を与える恐れがある。
人間への影響は十分に研究されていないものの、少なくともラットを使った実験では、加熱調理された油が腸内バクテリアに悪影響を与えることが判明している。揚げ物は衣だけでなく、内部にも熱々の油がたっぷりと染み込んでいる。さらに、使われる油によっては飽和脂肪酸やトランス脂肪酸を多く含むことがあり、胃腸への刺激が強い。下痢やおなら、腹痛などの原因になることがある。揚げ物を控えることで肝臓への負担を減らすこともできるため、ほかの調理法を使ったメニューを積極的に選びたい。
◆要注意食品5:無意識に取り込む抗生物質
食べ物を通じて、知らないうちに抗生物質を摂取していることがある。たとえば畜肉用として育てている家畜に対し、感染症の治療や栄養素の補給などを目的として、抗菌性物質を混ぜた飼料を与えることがある。こうして牛・豚・鶏などが摂取した抗菌性物質は、畜肉を通じて私たちの身体に入ってくることになる。
抗生物質は善玉菌・悪玉菌を区別することなくすべてを攻撃するため、腸内に棲むビフィズス菌や乳酸菌などの有益なバクテリアを減少させてしまう。この変化は基本的には短期的なものだが、ある研究では最大4週間が経ったあとでも完全には元のレベルに戻らず、長期的な影響が残ることが確認されている。また、肉などを通じて抗生物質を継続的に摂取する場合、耐性を持った細菌の出現も懸念されるところです。