同製品は、ディスカウントストア「ドン・キホーテ」を運営するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングスは2月10日、2021年12月に発売した「ネット動画専用スマートTV」を2月中旬に再販すると明らかにした。同社には、初回生産分6000台を各店舗で販売していましたが、売り切れになる店舗が続出。6000台の追加生産に踏み切っていた。
テレビと称しながら、テレビの視聴機能を外した、ネットユーザー動画の視聴に特化した製品です。AndroidOSを搭載し、米アマゾンが提供する「Fire TV Stick」や米グーグルの「Chromecast」といった外部機器なしで、「YouTube」「Netflix」「Amazon Prime Video」などのネット動画を視聴できます。
NHKの受信料は不要
同製品にはテレビチューナーを搭載しておらず、放送法64条が規定する「NHKの放送を受信する事ができる受信設備」にも該当してない。このために、
NHK受信料の支払い義務かが発生しない点も大きな特徴です。ITmedia ビジネスオンラインの取材に対し、NHKは同製品に受信料の支払い義務がないことを事実上、認めている。
製品には24インチ(2万1780円)・42インチ(3万2780円)の2サイズを展開中で。同社は「初回分は3000台ずつ生産し、42インチの方が若干売れている」として「「ドン・キホーテ」が想定していた以上にお客様に好評をいただいている。この売れ行きは想定以上です」と話している。
ユーザーからの「チューナーレスの製品がほしい」などの声を反映しての、同社は21年12月、「“大手メーカーさまが作らない、ドン・キホーテだからこその尖った商品”という考え方」の元の、自社のPB(プライベートブランド)から同製品を発売していた。
そうした中でのドンキが自社のPB(プライベートブランド)で発売したチューナーレステレビ。AndroidOSを搭載し、外部機器なしでネット動画を視聴できるのが特徴です。同社は開発の経緯について「もともと、お客さまからチューナーがなくても言いという声を多く頂いていた。生活様式の変化によもない、リアルタイムでのテレビ視聴よりも、好きな時に好きな番組を見られるニーズが日増しに高まっているコトを商品開発チームも実感していた」と振ります。
同社によると発売~現在までに、約2000台を販売。大手家電メーカーではなく、PBであるコトを考慮すると上々の数値といえるでしょう。売り上げ台数について同社は「店舗によっては在庫が行き渡らないほど注目を集めて、ご購入を頂いている」としており、手応えを感じている様です。
TwitterなどSNSネット上では、同製品がテレビの視聴機能を持たないため「NHKの受信料を支払わなくていいのでは」との指摘が多く出ている。放送法64条を文面通り読むと、支払う義務がない様に見える。本当に支払う必要はないのか。実際にNHKに聞いた。
ITmedia ビジネスオンライン編集部はNHKに対し、以下の3点を質問しました。
チューナーレステレビには、受信料の支払い義務が発生するのでしょう
こうした製品の登場をすることをどう受け止めているか
同様の製品が増え、購入者も増加すれば受信料収入が減少すると予想される事を。何か対策を講じるコトは考えているか
これに対し、NHK広報は「放送法64条1項では『協会の放送を受信するコトのできる受信設備を設置した者には、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない』と規定されています。
NHKにはこれに基づいて受信契約をお願いしています。なお、放送を受信する機能を有しない設備については、放送法64条1項に規定する協会の放送を受信するコトのできる受信設備にあたらないため、受信契約の必要はありません」と回答。チューナーレステレビでは、受信料の支払い義務が発生しないコトを事実上、認めた。
残りの質問にたいしては「各企業の製品については、お答えする立場にありません」「仮定の質問については、お答えいたしかねます」と明言を避けた。
総務省の調査などによると、近年は若年層を中心にNHKをはじめとする地上波のテレビ番組を視聴しない「テレビ離れ」が進みつつある。番組を見ていないにも関わらず、テレビがあるだけで受信料の支払い義務が生じる現行の放送法に対する反発からNHK受信料の支払いに否定的な人も増えつつある中、ドンキのチューナーレステレビはそうした層の新たな選択肢になり得るか。