SNSを中心に注目されているのが“窓ガラス”への備え。窓ガラスに×印、または「米」の字のように養生テープを貼ることで、台風対策になるというのだ。
そのような強風に対し、「窓ガラスにテープを貼るだけ」という簡単な方法が本当に有効な対策になるのだろうか? 窓ガラスなどを取り扱う、YKK AP株式会社にお話を伺った。
ガラスの“強化”はできないので注意
“窓ガラスに養生テープ”で割れなくなる?
ガラスが割れるのを防ぐというよりも、ガラスが割れてしまった際に破片が飛び散るのを防ぐものです。
YKK APによると、台風の際、ガラスが割れてしまう理由の多くは強風そのものではなく、「強風で飛んできたものがガラスにぶつかること」。そもそも窓ガラスはある程度の風圧に耐える強度を備えているため、強い風だけで割れてしまう、ということは少ないという。
話題となっている「テープ補強」だが、テープを貼ることがガラスの強度を上げることには繋がらない、ということには注意するべきだ。
ガラスにテープを貼るのは、あくまで割れてしまったガラスが部屋の中に飛び散らないようにするためのもので、ガラスそのものを「割れないようにする」というものではないのです。
実際、窓ガラス用の防災テープを販売しているサイトを見てみると、「台風時の窓ガラスの飛散防止用」という表現がされている。
ガラスが割れないようにする方法は“基本的にない”
――では、どんな対策をしたらいい?
台風の時“ガラスが割れないように“こうするべき」という対処法は基本的にありません。まずはシャッターと雨戸を閉めるなどの対策をしてください。
ガラスが割れてしまった時の対策としては、テープを貼るのも意味がないわけではありませんが、窓ガラスの内側からブルーシートなどのシートを全面に貼る、厚手のカーテンで覆うなどすることで、同様の対策になります。
テープを貼る場合は、貼り方によるガラスの飛散量の差などについては不明ですが、窓の枠に沿い、ガラスを囲うような形にも貼ると良いと思います。
ガラスが割れないようにするには、飛来物がガラスに当たるのを防ぐこと。しかし、これはシャッターや雨戸を下ろす、あるいはもはや昔ながらの窓枠に木材を打ち付ける…という他はほぼ対処法がないそう。
ガラスが割れ、穴が空いてしまうと暴風が室内へ一気に流れ込み、その風圧で屋根が吹き上がってしまうという被害もありえる。
しかし、テープを貼ることは全く無意味というわけではない。
まずは窓の近くに飛びやすいものがないか確認し、シャッター、雨戸で飛来物が直接ガラスに当たるのを防ぎ、万が一ガラスが割れてしまった時に備えて、テープよりさらに広範囲をカバーできるシートや厚手のカーテンで窓を覆う対策をしてほしい。
発泡スチロール板を窓にはめこみ、隙間を作らないことも有効
気象庁のデータを見てみると、屋根瓦などが剥がれ始めるのが平均風速15~20m/sほど。
それらが飛散するのが風速20m/s~、さらに家の外装などが飛散し始めるのが風速35~40m/sとなっている。
これは平均風速にすると40m/s以上。外装が飛ぶ風速よりさらに猛烈な風、“ものが飛ぶ“という表現では弱すぎるレベルだというのがよくわかるはずだ。
――他にも台風に備えてやっておきたいことは?
現在、窓が壊れている・立て付けが悪くなっている・隙間が空いている、という場合は発泡スチロール板を窓にはめこむなどして、隙間を作らないようにしてください。
現在、養生テープや防災テープが品薄になっている通販サイトもあるなど、大きな反響を呼んでいる台風対策。確かにテープを使うのは手軽でぜひ試したい方法だが、カーテンを使うなど、すでにあるものでできる対策もある。
命を守るため、今できることを確実にして安全第一で過ごしていただきたい。