都道府県の魅力度ランキング2018
毎年、順位をめぐって全国各地で様々な論争を巻き起こしている都道府県魅力度ランキング、その最新版である「都道府県魅力度ランキング2018」が10月15日、発表された。例年注目を集めるのは、最下位争いの常連である北関東3県の順位だが、今年はどのような結果になったのか。一方で、魅力度トップを争う都道府県に変動はあったのか。
調査を行ったのは、民間調査会社のブランド総合研究所。このランキングは、47都道府県と国内1000の市区町村を対象に、認知度や魅力度、イメージなど全84項目からなる「地域ブランド調査2018」によるもので、今年で実施は13回目。全国の消費者3万24人から有効回答を得た。
1位は10年連続の北海道,世界遺産効果が弱まる傾向に
2018年の都道府県魅力度ランキング1位に選ばれたのは北海道で、なんと10年連続のトップとなった。2位は京都、3位に東京が続き、なんと9位長野県までは昨年と全く同じ順位で変動がなかった。10位には、昨年11位だった長崎県が順位を1つ上げてランクインしている。
スポーツは魅力度アップへの貢献度が特に高い。今回同時に発表された市区町村魅力度ランキングで、268位から133位へと順位を上げた北見市は、平昌オリンピックで銅メダルを獲得したカーリング女子選手が所属するロコソラーレ北見(LS北見)の本拠地だ。LS北見効果で、認知度は昨年の281位から188位に、情報接触度(消費者が各地域の「評価と期待」を高めるためのイメージを構築するうえで必要となる情報をどれくらい入手しているのかを測る項目)は313位から99位にまで大幅上昇している。
また、昨年の34位から23位へとランクアップした広島市は広島東洋カープ(以下、カープ)、サンフレッチェ広島、広島ドラゴンフライズ(バスケットボール)といったプロスポーツも盛んな地域,特に、全国に広がっているカープの人気が広島市の魅力度を大きく上昇させているのは間違いない。
「ここ数年で、全国から『昔カープファンだったシニア層』『子どものいる家族連れ』『若い女性』といった新旧のファンが数多くマツダスタジアムで観戦するようになっている」(広島市在住カープファンの女性)といった声もあるように、カープをきっかけに広島が注目され、観光地としても集客力を年々高めている。実際、広島市を訪れた入込観光客数は7年連続で増加しており、2017年には1341.4万人で過去最高を更新した。
さらに広島は、昨年オバマ前大統領が訪れる「国際的なイベント」もあったことから、インバウンドでも大きな効果を上げている。外国人観光客数についても6年連続で過去最高を更新しており、2016年の117.6万人から2017年には151.9万人へと大幅に増加した。
一方で、魅力度アップへの貢献度が低下しているというのが世界遺産だ。
「この数年で登録される世界遺産の増加が著しくなっており、希少価値が低下していることから、世界遺産自体のブランド価値の低下が止まりません。また最近では広域の遺産を対象とした『遺産群』としての世界遺産登録も増えており、どこがメインの場所なのか、どこを主に訪れるとよいのか、観光客が分かりづらいケースも多い。『長崎・天草の潜伏キリシタン関連遺産』がその典型で、世界文化遺産登録されたにもかかわらず、長崎県の魅力度ランキングが1位しか上昇していないのは、効果が弱まっている証拠と考えられます」
以前であれば放映後に比較的長期間、観光などで効果を発揮できていたが、「多くの場合、効果があるのは放映をしている1年間や半年だけ。視聴率が良くても必ず観光につながるわけではない都道府県や市区町村も過剰な期待をするのは非常に危険だ。
自治体はわが町のプロモーション戦略を考えるにあたって、世界遺産や大河ドラマの誘致頼みだった状態からは早々に抜け出さなければならないようですね。