在宅勤務新たな働き方

在宅勤務と会社勤務の社員が両方いる場合、両者の間で働き方の違いから不満が起こることがあるため、企業は事前に問題を減らすために対策を取り入れることが大切です。

そのためにも、どうして在宅勤務・テレワークがずるいという不満が起こるのか、理由や問題点が何なのか、企業側は知っておく必要があるでしょう。

企業がテレワークに切り替えるときに、在宅勤務と会社勤務の働き方の違いで起こりやすいずるいなどの不満の理由と対策を解説します。

在宅勤務・テレワークはずるいわけではない
これまではオフィスワークが一般的な働き方でしたが、在宅勤務・テレワークという働き方も推奨され、増えてきています。

多様な働き方が増える一方で、在宅勤務・テレワークがずるいという意見が出てくることもありますが、決して正しいわけではありません。

なぜなら、仕事場の環境が会社から自宅に移るだけであり、今までのオフィスワークと同じように仕事をこなして、会社の社員として業務に関わる責任が伴うからです。

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自分はオフィスに行かなければいけないのに、自宅にいるのはずるい、在宅勤務はオフィスワークより楽だからずるい、というのは一方的な意見でしかありません。

もしくは、在宅勤務をしたいという気持ちがあるのにできていない状態であるがゆえに、このような感情や意見を出してしまっている場合もあるでしょう。

また、会社勤務からテレワークへの移行は、会社の方針によって決まるものでもあり、社員は会社の方針に従っていることが大半でしょう。

一部の在宅勤務はずるいという意見によって、在宅勤務を取りやめたり、導入を見送るのは大きな損失です。

これまでの環境からの変化を嫌う人間や在宅勤務ができない立場であることの根拠のないひがみから、在宅勤務を悪いもののように考える人がいる場合もあるでしょう。

全社的に在宅勤務に切り替えられる企業はあまり問題がないかもしれませんが、在宅勤務と会社勤務の社員、両方がいる企業は社員同士の人間関係のトラブルや不満に注意が必要です。

在宅勤務と会社勤務の間では、働き方や環境の差から不満や誤解が起こりやすくなるため、企業側は対処していく必要があります。

在宅勤務・テレワークの働き方がずるいわけではないため、このような意見があるのであれば、企業が積極的に働きかけて、社員同士の認識を変えていくのが大切です。

在宅勤務・テレワークがずるいと感じられる理由
会社勤務の視点から見たとき、在宅勤務の社員に関して、どんなところがずるいと感じられるのでしょうか。

在宅勤務・テレワークがずるいと感じられてしまう理由をいくつか取りあげていきます。

仕事が楽だと勘違いされる
在宅勤務・テレワークの環境は、過去に経験したことがない社員からすると働く姿がイメージしづらい点があげられます。

そのため「会社勤務よりも、仕事量や労働時間が短かったり楽だったりするのではないか」といった業務面での誤解を招く可能性があるのです。

在宅勤務の実体験がないと、仕事に関する誤解が生まれやすくなるため、会社勤務よりも楽ができてずるいと勘違いされる理由につながります。

通勤・準備の時間がかからない
会社の業務以外にかかる時間のロスに対する意識が、会社勤務の方が在宅勤務をずるいと感じてしまう理由にあげられます。

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社会人の方は、本音として仕事とプライベートの時間をできる限り安定させたいと考えておられるでしょう。

会社勤務の場合、定時あがりでも通勤時間がかかってしまいますが、在宅勤務・テレワークの場合は移動時間がかかりません。

ほかにも、会社勤務の身支度にかかる時間が減ったり、就業ギリギリまで寝ていられたりするなど、在宅勤務の環境におけるメリットがうらやましい気持ちにつながります。

仕事以外の時間を節約できることは会社勤務の方にとって、在宅勤務・テレワークがずるいと感じてしまう理由につながるのです。

在宅はさぼりやすいと勘違いされる
在宅勤務・テレワークでは、会社勤務のように上司や同僚が目の前で働くわけではありません。

環境の違いがあるため、会社勤務の方にとっては現状がどうかは別にして、上司の目が行き届かなかったり、仕事量が調整しやすかったりするイメージがあり、仕事がさぼりやすいと勘違いされるのです。

会社勤務の場合は、堂々とデスクを離れたり仕事の手抜きをしたりするのが難しいと感じられるため、ひとりで仕事ができる在宅勤務がずるいという不満を感じてしまうのでしょう。

在宅勤務はざぼりやすいという勘違いが起きることで、会社勤務の自分のほうが損だという意識やずるいという感情が生まれる理由につながるのです。

自由な働き方に不公平を感じやすい
会社勤務では、人間関係に関わる仕事のストレスを感じやすい傾向がありますが、在宅勤務は人間関係のプレッシャーから開放される面もあります。

ほかにも、在宅勤務は仕事の空き時間やプライベートの時間が増えるなど、生活スタイルの変化や違いが生まれてしまい、不公平に感じるのも理由のひとつです。

仕事とプライベートの安定が図りやすくなるだけでなく、仕事における精神面でのストレスを軽減しやすくなるため、会社勤務の社員にとっては苦労しなくて済むイメージにつながります。

このように、在宅勤務は会社勤務に比べると働き方の自由度があがる点も不満の理由につながるのです。

在宅勤務やテレワークがずるいという意見は不満につながる
企業は在宅勤務と会社勤務の間で起こる不満の対策を実施する前に、両者が抱える不満の具体的な内容を知っておく必要があります。

在宅勤務・会社勤務の社員それぞれの視点から問題点を探りましょう。

在宅勤務している側の不満
会社の方針や上司の指示にしたがっているだけなのにずるいといわれてしまう、またはいわれているのではないかと思う気持ちは、在宅勤務の社員が不満を感じる問題点につながります。

テレワークが導入された場合、自分で作業環境を整えていく準備を始め、在宅勤務のルールを覚えて適応する必要もあります。

中には、会社勤務のほうがよいと考える社員がいる可能性もあるでしょう。

ほかにも「テレワークで成果主義になってしまいつらい」ことや「周りに助けを求めることが会社勤務より難しい」可能性もあげられます。

企業の方針で在宅勤務になっていることだけでなく、会社勤務の社員と比べたときに、新しい環境に適応するための労力がかかることが不満にあげられるのです。

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在宅勤務していない側の不満
会社勤務の方は、テレワークの社員が会社の方針に従っているのは理解できるものの、自分の立場や待遇、働く環境を考えると、在宅勤務がうらやましいという気持ちや問題点につながることもあるのです。

在宅勤務のメリット

通勤が不要な在宅勤務には、企業側・社員側ともに多くのメリットがあります。では、具体的なメリットを5つに分けて一つずつ見てみましょう。

優秀な人材を確保しやすい
柔軟な働き方の象徴とも言える在宅勤務を導入すれば、それに魅力を感じて人材が集まりやすくなります。

さまざまな事情により通勤が難しくなった社員が出たとしても、自宅で働ける環境が整っていれば、経験のある社員が離職してしまうのを防げます。

求人募集を出す際も、勤務地の制限がなければ、長時間家を空けるのが難しい人や地方在住の人材などを雇用することも可能です。

コストを削減できる
在宅勤務を導入すれば、通勤にかかるコストを削減できます。在宅勤務により増えがちな電気代などのために手当を出す場合でも、通勤費よりも安く抑えられる場合が多いでしょう。

別の面は、オフィス維持にかかるコストを削減できることです。すべての社員がオフィスで働くとなると広いスペースが必要なうえ、水道光熱費や設備代などが高くつきます。

在宅勤務によりオフィスで働く人員が減れば、その分賃料や水道光熱費などの経費を削減できます。

業務を効率化して生産性を向上できる
基本的に一人で作業を進める在宅勤務では、各自自分の作業に没頭できます。オフィスにいると来客や緊急ミーティング、打ち合わせなどの予定が突然入り、思うように業務を進められないことも少なくありません。

一方、在宅勤務ではこうした理由による作業の中断が少なくなり、結果として生産性も向上します。

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災害時も事業を継続しやすい
在宅勤務は、災害やテロなどの非常事態にも強い勤務形態です。一つのオフィスに全社員が集まっていれば、オフィスが被害を受けた時には事業の継続が難しくなります。

一方、出社の必要がない在宅勤務では、ある社員が災害の影響を受けても、被害が及んでいない別の社員によりカバーすることが可能です。

感染症が流行して外出自粛の要請を受けても、自宅で作業できる環境が整っていれば、外に出ることなく各社員が自分の業務を遂行できます。在宅勤務により社員の作業場所に幅を持たせることで、リスクを分散できるのです。

ワークライフバランスが充実する
在宅勤務により通勤時間がなくなれば、オフィスに通う場合と比べて自分の時間をより多く確保できます。浮いた時間で家族と一緒に時間を過ごしたり、趣味を楽しんだりすれば、日常生活は充実したものになるでしょう。

また、通勤の必要がなければ満員電車に乗る必要もなく、社員のストレスが軽減されて気持ちにゆとりが生まれます。それにより、前向きに業務に取り組む社員が増えるという良い循環も期待できます。

在宅勤務のデメリット
在宅勤務を歓迎する人は多いものの、自宅で働くことにはデメリットもあります。

セキュリティリスクが高まる
社外での勤務が可能になれば、オフィスの執務スペースでのみ作業する場合と比べてセキュリティリスクは高まります。

在宅勤務では、情報ネットワークのセキュリティを強化して、情報漏えいやサイバー攻撃などを未然に防ぐ努力がより一層求められます。

コミュニケーションが取りづらくなる
じかに合って話すのではなく、インターネットを介したやり取りがメインになるため、コミュニケーション不足に陥ることも懸念されています。

大事な内容は電話やメール、チャットツールなどで伝達できるとしても、対面と同じような気軽なやり取りは難しくなります。

複数の人が関係するプロジェクトなどチームワークが重視される仕事では、コミュニケーション不足により作業の進捗に影響が出ることもあるかもしれません。

社員の勤怠管理が難しい
上司が部下の働きぶりを直接観察できない在宅勤務では、勤怠管理が難しいこともデメリットに挙げられます。

勤務開始時間や終了時間が各社員に委ねられている場合、きちんとルールを決めていなければ、労働時間を把握するのも容易ではありません。その結果、成果のみで評価することが多くなり、プロセスや頑張りなどを評価することは難しくなります。

導入にあたりコストがかかる
在宅勤務により通勤費などの経費は削減できるものの、導入コストはかかります。在宅勤務を可能にするためのシステムやツールの利用には費用がかかるため、在宅勤務の導入をためらう企業もあるかもしれません。

とはいえ、長い目で見れば、多くの場合導入コストよりも経費削減効果の方が大きくなります。

コスト面でのメリットとデメリットを比較する際は、在宅勤務は一時的な措置に過ぎないのか、それとも今後ずっと継続するのかを念頭に置いて検討すると良いでしょう。

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オン・オフの切り替えがしにくい
快適な自宅での作業は、プライベートと仕事の切り替えが難しいというデメリットもあります。通勤することなくパソコンのスイッチを入れれば勤務を開始できるという気軽さゆえに、オンとオフの境界があいまいになってしまうのです。

例えば、ある社員は仕事に集中できず、勤務中にだらけてしまうかもしれません。別の社員は、いつでも作業できる環境ゆえに、オフィスで作業していた時よりも長時間働いて疲れ切ってしまうということもあります。

在宅勤務導入のポイント
在宅勤務のデメリットをカバーし、自宅で快適に業務を行えるようにするために、いくつか気をつけたいポイントがあります。

労務管理方法を見直す
在宅で働く社員の労働実態を管理するために、労務管理方法を見直す必要があります。

勤怠管理ツールを導入するなどして、出勤や退勤、残業、休日などをきちんと把握できるようにしましょう。労務管理がきちんとできていれば、各社員へのフィードバックや人事評価もしやすくなります。

セキュリティ対策を万全にする
リモートワークの情報漏えいリスク問題を回避するために、セキュリティ対策を取ることも大切です。仮想デスクトップやセキュリティ対策ソフトを導入するなどして、十分なセキュリティ対策を講じましょう。

同時に、研修を実施するなどして社員を教育し、セキュリティ意識を高めておくことも大切です。セキュリティガイドラインを策定し、不審なメールを受信した時の対処法や望ましい作業環境などを周知徹底しておく必要があります。

コミュニケーションツールを活用する
ビジネスチャットツールやweb会議システムなどを活用して、離れていても円滑なコミュニケーションが取れるようにしましょう。

プロジェクトの進捗業況など業務に関することだけでなく、それ以外のことも気軽に連絡できるような体制を整えておけば、チームワークを保つとともに業務の効率化も目指せます。

社員の執務環境に関するルールを決める
社員のプライバシーに配慮しつつも、自宅の執務環境に関して一定のルールを設けておきましょう。ワーキングスペースの理想的な広さや、各自準備する必要があるものなどを周知しておけば、それぞれが快適な作業環境を作りやすくなります。

必要に応じて、在宅勤務用にパソコンや机、椅子などを社員に支給する会社もあります。

会社勤務の社員がトラブルやクレームに直接対応しなければいけない
在宅勤務よりも業務量が増えてしまい、ワークライフバランスが取りづらい
制服や化粧の準備時間や会社までの通勤時間がかかる
たとえば、上記のような不満が直接あげられる可能性もありますが、会社勤務の社員は、表立っては上司にテレワークがずるいと言いづらいと感じていることもあります。

在宅勤務でない側は、労働に関わる時間調整が難しいことを始め、仕事での負担が増えやすいのではないか、という気持ちが不満にあげられるでしょう。

在宅勤務・テレワークがずるいと思わせないための対策
企業は在宅勤務と会社勤務の社員、両方の意見を尊重しながら対策を進める姿勢が必要です。

事前に起こりそうな問題に対処するためにも、在宅勤務・テレワークに切り替える前にぜひできるところから対策を取り入れましょう。

社内での情報共有を定期的に実施する
在宅ワークに関する内容を不透明にしていると、社員同士の間で不満がたまる可能性も考えられるため、定期的に意見や情報交換を欠かさないようにしましょう。

在宅勤務と会社勤務のそれぞれに関して、具体的にどれくらいの成果が出ているのか、どのくらいの仕事が進行しているのかなど、業務に関する進ちょく報告を意識することで、お互いの仕事がスムーズに進めやすくなります。

情報共有は仕事を円滑に進める上で欠かせないため、企業側が在宅勤務の人たちと溝ができないように体制を整えて対策するのが大切です。

在宅勤務のルール・評価制度を明確にする
在宅勤務と会社勤務の間に隠しごとをせずに、おおまかなルールや評価制度に関する情報は共有しておくことが大切です。

たとえば、在宅勤務の評価制度に関する仕組みや労働時間、業務内容の共有など、お互いがどんなルールで仕事に取り組んでいるのか、見えるようにわかりやすい形で開示します。

ほかの部署が在宅ワークを取り入れる機会があったときの体制が整うため、移行までの期間を短くできるメリットもあるのです。

会社勤務の社員たちが損をしているわけではないことが伝わりやすくなり、会社勤務と在宅勤務の社員における不満を減らす対策が可能になるでしょう。

事前に社内アンケートを取り入れる
在宅勤務に対する意識改革の基準にするためにも、事前に社内全体でアンケートを取る方法もあります。

在宅勤務に関するイメージとともに、会社勤務で不満に感じているポイントを聞き取ったり、改善できそうなことがないか意見を出し合ったりしていきましょう。

社内アンケートは、企業側と社員がお互いの仕事環境をよくするためにも、これまで言えなかった本音を聞くチャンスにつながります。

アンケート以外にも面談を取り入れて詳細を話し合うなど、事前に不満になりそうな点に耳を傾けることで、事前の対策ができるでしょう。

コミュニケーション不足対策を補うツールを導入
在宅勤務と会社勤務の社員が連携して仕事に取り組むときは、コミュニケーション不足から仕事のミスが起きやすくなる可能性があります。

対策としては、発生する問題を回避するためにも、仕事を円滑に進められるコミュニケーションツールを導入しましょう。

メールとは違い、チャット式でやりとりができたり、仕事のタスク管理ができたりするなど、業務の進行がわかりやすく共有できるメリットがあげられます。

コミュニケーションがスムーズにできれば、在宅勤務と会社勤務の仕事に対する不満を減らす対策につながるでしょう。

情報共有で在宅勤務との不公平感をなくすことが大事
在宅勤務がずるいと会社勤務の社員が感じてしまう理由や企業ができる対策を見てきました。

ずるいという気持ちが起こる理由は、在宅勤務のほうが仕事において楽でさぼりやすそうといった誤解を始め、通勤時間がないことや働き方の自由度が感じられる点に不公平を感じてしまうからです。

企業ができる対策としては、社内での情報共有を意識して在宅勤務のルールを明確に伝えながら、社内アンケートや面談の形で社員同士の意見に耳を傾けましょう。

また、在宅勤務と会社勤務の人たちの仕事を円滑にするために、コミュニケーションツールの活用も効果的です。

在宅勤務と会社勤務の方をつなげるコミュニケーションツールのサービスを提供するChatworkの利用もご検討ください。

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