コンポストとは?
コンポストとは「堆肥をつくる容器(composter)」のことです。家庭からでる生ごみや落ち葉、下水汚泥などの有機物を、微生物の働きを活用して発酵・分解させ、させることにより生ごみが分解されるので、落ち葉コンポストよりも短期間で堆肥が出来あがります。
昔から伝承されてきた日本の大切な知恵のひとつです。
コンポストって新しい活動・概念なの?
日本には「もったいない」という言葉があるように、かつては人と自然が共生する循環型の生活を送っていました。
稲作が発達した日本では、生ごみや糞尿などを自作で肥料(たいひ)にして、田畑へ散布していました。
都市化が進み、人口が増えて化学肥料や農薬をつかった効率性を重視した農業が普及すると、ごみは多様化し、まとめて焼却処理されるようになりました。一方、市町村でコンポスト事業が始まり、ここ20年ほどは循環型社会への取り組みとして再注目され、各地に広がっています。
コンポストをすると何が良いの?
最近は、一般の家庭でも手軽にできるコンポストが増えています。そもそもコンポストにはどんなメリットがあるのでしょうか。
自分・家庭へのメリット
・生ごみを捨てる手間がなくなる
・生ごみを捨てるときに使うビニール袋が必要なくなる
・栄養豊富な堆肥を自作することができる
・できた堆肥は家庭菜園や花の栽培に活用できる
・堆肥でできた野菜や果物はおいしく、安心して食べられる
・ごみが減るので、ゴミ袋代を節約できる
・環境などに関心を持つきっかけになるんど、エコ活動として気軽に参加できる
地域・地球へのメリット
・ごみが減り、自治体が焼却処分するための手間や燃料、費用が減る
・ごみの焼却が減るため、処理につかう二酸化炭素の排出量が削減されてる
・堆肥を学校や農家など地域に還元することができる
ざっと並べただけでも、コンポストにはこれだけ多くのメリットがあります。自分や家族にはもちろん、地域・環境全体にまで影響を及ぼしているのです。身近な自分の暮らしが環境活動への大きな1歩になりそうですね。
都会でも手軽にできる新しい「LFCコンポスト」とは
堆肥(たいひ)って何?
コンポストに取り組むと、生ごみが堆肥に変わります。では、堆肥とはどんなものか知っていますか。
「わら、落葉、野草、藻類などを積んで腐らせた自給肥料。肥料としての効果のほか土壌の肥沃度を保ち、土壌の物理化学的、微生物学的な性質を改善する土壌改良剤として有効である。
簡単に言うと、堆肥とは有機物を微生物に分解させて、その栄養を植物が吸収しやすい状態にしたものです。
どうやって生ごみが堆肥に変わるの
自然界には、さまざまな種類の微生物がいます。空気や土、水、私たちの体の中など、身のまわりのあらゆるところに住んでいます。土ができたり水がきれいになったり、納豆や醤油、チーズ、お酒などの食品も、微生物の働きによってできるものの一例です。
コンポスト容器の中に生ごみを入れると、有機物をエサにする微生物が分解して、その活動エネルギーで温度が上がったり下がったりします。そのため、容器の中には四季それぞれに働くたくさんの微生物が混在し、同時に活躍することで、自然界よりもかなりスピーディに堆肥化が進みます。
自然のサイクルでは、小動物や微生物の働きによって、植物などの有機物は時間をかけて土に戻ります。1cmの土ができるためには100年かかると言われています。
田畑で野菜や果物を育てて収穫を繰り返すと、土の中の栄養素はだんだん減っていきます。土に含まれる栄養素を使うことで作物ができるためです。人が堆肥を自作して土に加えれば、より早く効率的に土に栄養を補うことができます。
私たちが出す燃えるゴミの約4割は、生ごみが占めています。私たちが食べた作物の生ごみを家庭で堆肥にして土にかえせば、自分たちの手で「小さな循環」「リサイクルの輪」を作ることができるのです。
コンポストにはどんな種類があるの?
コンポストを始めるためには、コンポストをするための道具であるコンポスターが必要です。いろいろな種類があるので、代表的なものをご紹介しましょう。
設置型コンポスト
庭の土を掘り、コンポスターの下の部分を埋めます。上にはふたがついています。生ゴミのほか、庭の落ち葉や雑草なども入れられます。いっぱいになったら2~3か月熟成させます。
回転式コンポスト
生ゴミや落ち葉などを入れて、容器ごと回転させることで堆肥化に必要な酸素を効率よく供給します。丁寧に扱わないと取っ手などが壊れることもあるので注意が必要です。
密閉型コンポスト
密閉した容器に生ごみとぼかし(米ぬかや発酵促進剤など)を入れて、ゴミを発酵させます。生ゴミは分解されないので、土に移して1か月ほど分解させる必要があります。嫌気性のタイプであるため強い発酵臭を悪臭と感じる人も多いため、マンションでは注意です。
ダンボールコンポスト
ダンボールに資材を入れ、生ごみを投入してよくかき混ぜるだけ。最後に3週間ほど熟成させます。安価で作り方が簡単なコンポスターです。ダンボールは庭やベランダに置き、2~6か月ごとの交換が必要です。
電動生ゴミ処理機
電気を使い、温風で生ゴミを乾燥させて堆肥化、や炭化させるタイプ、資材を入れ自動で回すタイプなどがあります。室内に設置できて手軽ですが、本体が高価で電気代がかかり、音がするという問題もあります。
ミミズコンポスト
ミミズと資材を入れた容器に生ごみを投入すると、ミミズが生ごみを食べて分解してくれます。ミミズは好き嫌いがあるので柑橘系など入れられない生ごみがあります。
〇コンポストで分解されやすいもの
・ごはん
・野菜、果物
・卵の殻
・魚、肉類
・小麦粉(パン・麺類)
△コンポストで分解されにくいもの
・野菜の皮など硬いもの
・生米
・魚や肉の骨
・果物の種
✕コンポストに入れてはいけないもの
・割り箸や爪楊枝
・腐った生ごみ
・ビニール類
DYI 自作「コンポスト」の作り方
近くのホームセンターで売られていた合板の端材を使います。厚み12mmの、ラワン合板です。
庭先にチョコっと置ける程度の大きさにしたいので、出来上がりの大きさを横幅400mm×奥行き300mm×高さ350mmにします。
ホームセンターで購入する場合、お店で木材カットもしてもらうと、すぐに組み立て始められるので楽ですね。
木材の切り出しが終わったら、組み立てていきます。
まずは、前板と側板を接合します。微生物や菌が働くためには水分が不可欠なので、水に弱い木工ボンドは使いません。それに、ボンドが溶けて堆肥に混ざると嫌なので。
三辺の固定ができたら、次に底板を1枚取り付けます。
カット時の誤差や、木材の反り等があった場合、ここで調整してください。
次に背板を取り付けます。
次は、底板をもう1枚取り付けて、二重底にします。底を二重にして、強度を出します。
生ゴミや土、水分が入るので、かなりの重さになります。設置後、場所を移動したいと思った時に、底が抜けてしまっては大変なので、しっかり強度を出しましょう。
すでに取り付けてある底板と、ネジ同士が干渉しないように、ネジ穴の位置には気を付けてください。
本体が完成したら、次は蓋を作ります。
蓋用の板の裏に、ストッパーになる板を固定します。
蓋の四隅を丸くしておくと、見た目も柔らかくなるし、安全ですね。
このままでもいいのですが、ずっと戸外に置いておくものなので、防水防腐のために塗装もした方がいいでしょう。
今回は、油性の着色ニスを使いましたが、ステインでも良いと思います。
色は、お好みで。塗料を購入するときは、「油性」「屋外用」と表示されているものを選んでくださいね
よく見かけるプラスチック製のコンポストよりもおしゃれではないでしょうか?これなら違和感なく庭先に置いておけると思います。
気になった方は、ぜひ作ってみてください!家庭のゴミも減るし、エコな生活ができるし、栽培物はよく育つし、一石三鳥のDIYです!
ダンボールコンポストの作り方
ダンボールコンポストの材料
ダンボール
ピートモス
くん炭
生ごみ
1.ダンボールの底をガムテープで閉じる
土や生ごみがこぼれ出ないように、ガムテープで底をしっかり閉じてください。強度を増すために底はダンボールを2重にしておきます。
2.ふたを作る
コンポストのふたを閉じられるように、ふたを作っておきましょう。
3.ピートモスとくん炭を入れる
発酵を促すためにコンポストにピートモスとくん炭を入れます。
4.土と生ごみを入れて混ぜる
1日1回は必ずコンポストの中身を混ぜてください。
もっと手軽に「コンポストボトル」
コンポストボトルの作り方はとっても簡単。大きめのペットボトルを用意し、土を底に入れ、生ごみコンポストと同じ要領で生ごみと土を交互に入れていき、時々菜箸などで混ぜます。満タンになったら熟成させ、堆肥として利用します。
コンポストは、環境に優しく簡単にできるだけでなく、子どもでも楽しみながら堆肥を作ることができます。コンポストで自家製堆肥を作ってみませんか?
市販の堆肥は、だいたい10Lあたり1000円ほどが相場です。園芸や家庭菜園で堆肥をよく使うというときは、コンポストで自家製の生ゴミ堆肥があるといいですね。自治体によっては、コンポストの購入補助金がでるところもあるそうなので、お住まいの役所に聞いてみてはいかがでしょうか。
コンポストづくりをマスターして、地球に優しいガーデニングや家庭菜園をお楽しみください。