料理やお弁当の色どりに添えられているパセリ。残さずに食べるという方は多くないかも知れません。そんな脇役に思われがちなパセリですが、実はただの飾りにしておくには、もったいないほど栄養価にすぐれた野菜なのです。
パセリに含まれる栄養素・調理法など、くわしくご紹介します!
■パセリに含まれる栄養素と効能
パセリの漢名は“香芹”(こうきん)と言います。「名は体をあらわす」と言われるとおり、さわやかで、どこか苦みを感じる香りが特徴のセリ科の植物です。
あざやかで濃い緑色には、いかにも栄養がありそうなイメージがあります。
実際の所、パセリに含まれる栄養素とは
パセリには鉄・カリウムなどのミネラルが豊富
“ミネラル”は、人間の生命を維持するのには必要で不可欠な栄養素です。
パセリに含まれる鉄・カリウムは、野菜のなかでも1、2の多さをほこります。この鉄・カリウムも、ミネラルの種類の一つなのです。
【カリウム】
カリウムには、体内の塩分“ナトリウム”を尿とともに排出してくれる作用があるとされています。その為、塩分のとりすぎが原因のひとつでもある高血圧の予防に役立つとされています。
また女性に多いむくみの症状。原因のひとつが塩分の過剰摂取であるといわれています。塩分を多くとると、からだの塩分濃度をさげようとして体内に水分がたまり、むくみとなってあらわれるのだとか。カリウムの作用で塩分を尿とともに排出する事によって、むくみの予防に効果があるそうです。
【鉄】
鉄が不足すると鉄欠乏性貧血を引き起ここします。特に女性に多いといわれる貧血です。
鉄分が多い野菜として思い浮かぶものには、ほうれん草、という方が多いのではないでしょうか。ですが、パセリはほうれん草の“4倍もの鉄分”が含まれているそうです。
カリウム・鉄をはじめとするミネラルは、体内で合成することができない為、食物からとる必要があります。
ミネラル不足の予防には、パセリはぴったりの食材とされているのです。
女性に多いむくみ・貧血の予防に、積極的にパセリを食べるようにしたいですね。
・ビタミンKを多く含む
パセリには“ビタミンK”も多く含まれてる野菜と言われます。
“ビタミンK”は野菜のほか、魚・貝にも含まれ、また腸内の細菌によっても作られる栄養素です。
カルシウムは骨に定着させる作用があり、丈夫な骨の形成にも不可欠な栄養素とされています。
またビタミンKには血液を固めるはたらきがあり、不足すると出血がとまりにくくなる、などの症状がでるそうです。
“ビタミンC”は野菜の中でトップクラス
パセリの“ビタミンC”含有量は、野菜の中で一番多いと言われます。
“ビタミンC”は、活性酸素を抑制する作用があります。活性酸素が増えすぎると、体の細胞がさびてしまい、これが老化としてあらわれます。また動脈硬化・ガンなどの、成人病の原因のひとつとされています。
ビタミンCには“ストレス解消”にも欠かせない栄養素であると言われています。抗ストレスホルモンである“アドレナリン”をつくりだすのに、ビタミンCが大量に必要である為です。
老化や成人病、ストレス。現代の人が抱える問題の予防には、ビタミンCは欠かす事の出来ない栄養素なのですね。ビタミンCの含有率が高い“パセリ”を食べて、効率よく摂取しましょう。
・βカロテンが豊富
パセリには“βカロテン”も豊富にふくまれます。βカロテンは緑黄色野菜や、くだものなどの色素成分の事、野菜が「緑黄色野菜」か「淡色野菜」に分類されるかは、このβカロテンの含有量で定められているそうです。
βカロテンはビタミンC同様に強力な抗酸化作用をもち、活性酸素のはたらきを抑制する効果があるとされています。
また体内にとりこまれたβカロテンは、一部はそのまま吸収されますが、必要な量のみ“ビタミンA”へとかわります。
ビタミンAには、肌や粘膜をすこやかに保ち、免疫力を高める効果があるとされます。疲れや乾燥から目を守り、暗いところで目が見えにくくなる夜盲症の予防にも役立つといわれています。
・「アピオール」という精油成分
パセリの独特のさわやかさをもつ香りは、アビオールという精油成分によるものです。
香りの好みは個人差があるものですが、アビオールには注目すべきすぐれた効能がいくつもあります。
アビオールは、腸内の有害細菌の繁殖をおさえ、食中毒の予防に有効とされます。胃液の分泌をうながし、食欲増進の効果もあるそうです。口臭予防に有効な成分も含んでいるため、食後に食べるとよいそうです。
さまざまな効能があるパセリの香り成分。料理のお皿に添えられたパセリを食べないのは、もったいないですね。
■パセリのカロリー
さまざまな栄養素が、野菜のなかでトップクラスの豊富さをほこるパセリ。カロリーや糖質は高いのでしょうか。
・100gあたりのパセリのカロリー
生パセリ 43kcal
乾燥パセリ 341kcal
ほかの緑黄色野菜がそうであるように、パセリのカロリーも高くはありません。
パセリの炭水化物の含有量も100gあたり7.8gと、糖質も低めといえます。
パセリの量の目安ですが、料理やお弁当に添えられている分量がおおよそ1~2gです。100gとなると相当な量ですね。
・食べ過ぎるとどうなる?
パセリの精油成分であるアピオールは、子宮の収縮作用があり生理をうながす効果があるとされ、古くから月経不順の治療に用いられていたようです。
そのため、妊娠中の場合は食べ過ぎないようにしたほうがよい、といわれているのだそうです。
また、パセリはその殺菌作用が食中毒予防などに役立ちますが、刺激もあるため、一度に大量にとりすぎると胃を刺激して吐き気をもよおすことがあります。肝臓や腎臓にダメージを与える場合もあるそうです。
ただそれも、目安として200gをこえるような量を一度にとるのでなければ問題はないとされています。
・イタリアンパセリとの違い
日本で一般的にパセリと言えば、葉が細かくカールをして丸みのあるタイプです。その葉のかたちから、カーリーパセリと呼ばれることもあります。
イタリアンパセリの葉はちぢれておらずに、平たい形をしています。ちょうど三つ葉やパクチーによく似ています。
栄養価はどちらも同じくらいです。味はイタリアンパセリのほうがクセもなくマイルドで、葉もやわらかいです。そのため、生食でサラダなどによく用いられます。
■パセリの栄養を保つ保存方法
少量を料理のいろどりやつけあわせに使うことが多いパセリ。新鮮なうちに使い切るのはなかなか難しいものです。せっかくの栄養豊富なパセリを、鮮度をたもって保存するにはどうしたらよいでしょうか。
・キッチンペーパーでつつむ
パセリを水で洗い、ぬれたままキッチンペーパーで包みます。さらに保存袋にいれて冷蔵庫の野菜室で保存します。1週間以上は鮮度を保ってくれます。
・水に入れる
コップにパセリをさし、茎の先がつかるくらいの水をいれます。葉が乾燥しないよう、ビニール袋やラップをかぶせます。冷蔵庫のドアポケットにコップをいれ、まめに水をかえましょう。倒れなければ野菜室での保存でも大丈夫。2週間くらいは元気なまま鮮度をたもちます。
コップにさす場合、さらに長持をちさせる方法があります。
切り花は、長持ちさせるために水切りをします。パセリにも同じ効果が見込めるので、ぜひ試してみてくださいね。水切りは、ボウルなどにはったきれいな水の中でパセリの茎の先をハサミで斜めにスパッと切るだけ。ぐんと水揚げが良くなるので、長持ちするのです。
・冷凍保存
パセリは茎と葉の部分をわけます。葉は水でよく洗い、キッチンペーパーなどでよく水気をふき取りましょう。パセリを保存袋に入れて平らにして空気を抜き、冷凍庫にいれて凍らせます。
完全に凍ったら袋の上からパセリをもむと、簡単に“みじん切り”したようにパラパラの状態になります。再度冷凍庫へ戻して、1ヶ月程度は保存可能です。スープやパスタの上に凍ったままパセリをふりかけたり、ドレッシングに混ぜ込んで使いましょう。
・乾燥パセリの作り方
パセリの茎と葉をわけ、葉を水でよく洗います。キッチンペーパーなどで水気をよくふきとります。耐熱皿にキッチンペーパーをしき、パセリが重ならないように広げます。ラップはせずに、600wのレンジで3分ほど加熱し、まだ水分が残っているようであれば、10秒ずつ追加で加熱し水分をとばします。加熱しすぎると焦げてしまうので、少しずつ様子を見てくださいね。
熱がさめたらビニール袋にいれ、袋ごと軽くもめば簡単に粉々になります。
ビンなどの容器や密閉できる袋にいれて保存します。冷凍庫で保存すると、きれいな緑色がたもてます。